2008-01-01から1年間の記事一覧

詩に関すること(その2)

前回の更新から随分と時間が経った。最近は、出張や応援など仕事で忙しく、人とも詩ともうまく付き合えていないような気がする。そんな中で、最近は自分の中での詩をもう一度じっくり考え直すいい機会のようにも考えている。 間もなく刊行されるであろう最新…

詩に関すること(その1)

自分にとって、詩とは白紙の街で生きるような行為であり、空白を常に前にして向かう、透明な悲しみのようなものである。そういうことを最近思った。誰もが、白紙の崖で倒れながら、けれども倒れずにたたかっている。そのような光景が、詩の原点のように思わ…

制作日誌6

相変わらず、箱についての詩を書いている。僕はインスピレーションを尊重しながら、常に言葉に向かい合いたいと考えているが、なかなかうまくいかないことが多い。人付き合いと同じで、言葉も生き物なので、こちらの思う通りには進まない。調子がいい時は楽…

蜂 THE BEE

許されている自由(許されていない自由 どこにも行けなくなってしまった時代に 「フリータイム」という謎の言葉が 私の頭脳の中にブンブン音を立てながら 蜂のようにやって来る それは黄色い文字と黒い文字で 私の頭脳の隙間という隙間に入り込む 私は 「フ…

制作日誌 5

詩に何が出来るのか?そんな問いは、書き手を深い沼へと突き落とす。詩は、それ以外のものが出来ることは何も出来ないだろう。 だが、詩はそれ以外のものが決して出来ないことが出来るだろう。そのようなことを呟いているうちに、一生が終わりそうなので、僕…

制作日誌 4

本格的に編集段階へと移行しつつある。 これから一ヶ月くらいは、ずっとゲラ読みのような日々になるのだろう。 それにしても、作家という人たちの頭の中は本当に言葉でぎゅうぎゅうになっているんだろうな。詩人は、むしろ言葉が全く無くなった状態から言葉…

制作日誌 3

昔、ダリの絵画に初めて出会った時に衝撃を受けたことを覚えている。福岡のアジア美術館で開催された「ダリ展」において、僕はその絵の前でただただ沈黙するしかなかった。普段だと、僕は饒舌に表現を語ることが多いが、圧倒的な作品の前ではただただ言葉を…

制作日誌 2

コーネルの箱作者: チャールズシミック,柴田元幸出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2003/12/05メディア: 単行本 クリック: 105回この商品を含むブログ (51件) を見る箱男 (新潮文庫)作者: 安部公房出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2005/05メディア: 文庫購入…

ペガサスとしての午後(伊藤研之の絵に向けて)

ペガサスとしての午後が流れてゆく 分かるだろう この大地の虹色のきらめき 巨大なヨットの群れの中に身を置いて 世界という名の巨大な船が 宇宙という名の海を駆け抜けるというイメージが ほら ペガサスが銀河を駆け抜けて もう ここにやって来ている 「こ…

制作日誌 1

鶴町作者: 松本秀文出版社/メーカー: 思潮社発売日: 2006/12メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見る今、書いている作品「青空を呑み込んだ犬の隣で芝生が語ったこと(あるいは犬の虫歯を治す方法(あるいは彼女たちの小さな苦悩」…

はじめまして

松本秀文と申します。 福岡で、詩を書いたり、イベントに関わったりしております。 今まで2冊の詩集を上梓いたしました。 1冊目は、24の時に出した『角砂糖の庭』(梓書院)という作品です。 2冊目は、26の時に出した『鶴町』(思潮社)という作品です。最近…