2015-01-01から1年間の記事一覧

ペガサスストーン

君と 出会うために 癒しを殺してきた ペガサスストーン 詩に 出会うために 余白を言葉に噛み殺させた ペガサスストーン 星に 出会うために 虚構の結合をミキサーで粉砕した ペガサスストーン 神に 出会うために まとまらない人生を井戸に落下させた ペガサス…

矢射る豚の路地へ

まだ詩を書いていたよ ババア 飽きもせずに ことばと恋愛中って 何だそれ ダサい歯車の いかがわしいにおいしきつめて 俺のお尻に噛みついた豚を 射るお前の瞳は ポエム愛 剥き出しの改行と抒情で 銭を集めるような ライフ 西脇の詩を読みながら もう永遠ま…

ミイラの性交

ミイラの性交は 神秘的であり 通俗的である 乾いたくちびるの 精神を病んだひらひら 「姉さん、そこは崖ですよ」 純粋な性器であるが故に渇く ミイラの性交は 存在のオルガスムをえーえんに 「きたねぇはだかでやかましいわ」 洞窟を愛の巣にしてはならない …

『贋作 中原中也詩集』制作開始

今年年末か来年に、発表予定の『贋作 中原中也詩集』の制作を開始した。 一昨年に執筆した「贋作 世界の構造」に続く「贋作」シリーズの第二弾であり、 近代詩⇄現代詩の新しい可能性を試みる企画のひとつである。 再度、中原中也作品を読み解きながら、新し…

鰤人間

昨日も嵐だったね マイケル お前のひとり芝居は 本当に薄っぺらい人間観察だな 腹がちぎれて 大根が飛び出す 噴水の前で銃撃戦してから マクドナルドのいつものやつ 手が血まみれになったら ベルを鳴らして死んでくれ そこが天国でもお前は充分詩人だ 土俵で…

最後のスプーン

からだを脱ぐと まっすぐに私だ もう曲がることもない 世界を呑みこんで 私のような影は わらっている 脳の微風地帯において マッチ棒を立てれたら おいしいおやつがもらえる 猫の額に潜む神様(仮)が 世界を埋め立てている あなたの自転車がひとり走る 海…

前歯なし物語

被告人は前へと云われ 私は無実ですと林檎を剝く 変態というラベルが 男を完全な鬱へと変えた 駱駝の瘤に跨って 脳内茶屋で歌留多を始める 御伽草子のような屁にはあらねど 武家屋敷で金髪の猿が発情する コンビニではたらく労働者の一員として 明日は出征の…

橋の旋回

空がちぎれたら 君とおりがみでもしよう 胸から鳩が飛び立ち その駅に約束は残っていない 未来は過去の狙撃手の視界で踊る 水は吹き飛んでゆく オルゴール銀河で 桃から汗が芸人のように噴き出し 笑わない笑いは 皮膚の政治を鮫肌に変化させて 逃げる

最上階の絶望

最上階で 猿がうどんをすする うどんは犬がゆでている わたしが会社を早退したことが原因で どこかで誰かが苦しんで死にました 他人のことなので特に問題ありません 靴紐で死ねるような気がしたので 靴屋には近づかなくなった母が ことばの湯に脳を沈めて 「…

肩を研ぐ

肩を研いでいる 風に添付されたファイルに くだらないことばの集積 いやな顔をした子供が 鳥の笑顔を画用紙に描く 体重をうしなった神様たちが 虚数の階段を降りてゆく 「彼らに名前などない」

sanagi

無力が好きです 無力が大好きです 首輪の皮膚への負荷が 夏よりも俺たちには厳し過ぎる 恐怖の先端に精液を濁して 浮世絵の内部で泳ぐ金魚は 渇く 步を進める度に妖怪は騒ぐ あたらしい音楽が皮膚へ 浸入する経過を記録する係が豚であるとは 世界はかき氷で…

朝になるまでに

俺たちには 朝になるまでに死ぬ理由があった だが 朝はまだ来ていない あなたの歯で あたまから裂かれるからだの一部 死の香りを嗅ぐ快楽の精たち 庭園は実に醜悪な冗談のかたまりだ 誰かがそこでつぶれたまま 光の改行が遅延なくおこなわれている 時代の放…

力尽きる前に

お願いがあります 君が力尽きる前に 差す傘は 誰かに降る雨の色を 悲しみにしないでほしい 若さが星の前で 挫折して 絶望の光を発する 「君の頬を撫でていたかった」 翌朝のベッドに君はいない 鴨たちがダンスする 池 死が死と手をつなぐと 空白の拍手が彼方…

名前が云えなくて

空が海を飛んだり 海が空を泳ぐくらい 茫洋と世界は続いております 昨日の思い出は既になく 思い出の昨日はほほえみながら 終わりのない航海を続けております 茫洋ステーション 今日の僕はどうやら 昨日の僕がコピーされ 上書きを待っているいきものです 世…

ほとけ

ひとよ ひとよ すばらしいたたかいのあとで ことばをつまんだり かじったりすることは ちくびのようにはこなせません ひとよ ひとよ もりのこかげで ほとけをみつけて 「あらゆるかなしみをひとりじめするなよ」 コンビニでピストルをかう

彼方から ボールが 飛来する 「君が餌になる前にこれを食べなさい」 詩論を書き続けるジジイに イヤフォンをプレゼントして アルバイトから帰宅する 母から仕送りの代わりに 詩が届く 貧しい時代の片隅で ことばはますます貧しい 教養を猿が学ぶ場所が 渋谷…

草履でGO!

千年の愉楽を べとべとに塗ったような 饅頭がこわいです それでも明日へ行きますよ 爺と婆は民話の湯舟で 物語の暗記に専念している 平安のゆとり世代が おそらく老人たちをにぎやかにする時間だ 「ピンチはチャンス」とか 天国の階段をのぼる途中では ちょ…

夢の中へ

床が抜けるような夢 そんなの普通ですね 夢の医者に夢の中で 指摘された現実の僕 虫歯が痛いし不眠症 でも夢の中ですよね

昆虫からぶら下がる

訛りがゆるされる 場所で 口笛を吹く 寒空を舐めながら カラカラに 乾燥した人生を ほおばりながら 地底でギターを奏でる 少年も 少女も おとなになる前に 死ぬようなのです 浮世ですすられる うどんの総量を 落語家が 計算している 大音響の地底 猫が 藁の…

気紛れ倶楽部

自分が 誰かと似ている気分 風圧で今日の 運勢を占う コンビニの上にUFOが つながりさえ持たず 浮かんでいる 探偵たちの 息をしない息が 街の中に反響する 夕暮れに 熊が ペットの田中くん(25)を連れて 気紛れ倶楽部へ向かう 生麦が 生卵を欲して エロスを…

日向の秘密

日向に咲く 秘密 あなたは立ち止まる まだ 死んではいない どこか遠い国で 怪物が 口を開けた いつもの食卓に 生首が盛られる 靴底で 父と母が 仲良く冬眠している 簡単に詩が書けるので 息子には不安がない 亀たちが 浜辺で 浦島をいじめている お伽の国に…

誰かが隣で寝ていた頃

それを「思い出」と呼ぶのかい? ねえ 隣で寝ていた誰かは おっ母かい? 恋人かい? それとも愛猫のタマかい? いずれにしても 不在を抱え込んで 燃やし尽くせない悲しみが あなたの中に眠るあいだは 静かに 誰かをそっと寝させておくのがよい そして あなた…

晴れ間の時間

それでは 皆さん集合されましたので 今から 「晴れ間の時間」を開演いたします 上演中は 携帯電話の電源をお切りいただくか マナーモードに設定いただき 音を鳴らさないようにお願いいたします また 今まで「現実」や「常識」と考えられてきたことは 一度き…

冷えた詩の区画

行方不明の熊を追って 舗道をまっすぐ歩くと 大抵は 予想もしない恋か詩に 辿り着いてしまう(日常) 冷えた詩の区画で 忘れられたひと(動物)たちの 忘れられた物語が 物語未満のまま 世界からこぼれおちてゆく(雪) 「白い息なんてないんだよ」 声だけが…