方舟

頭が痛くて学校を早退したら
いつの間にか方舟に乗っていた
他の乗客も世界からはぐれたがっているように見えた
顔はない
「希望が好きな方はこちら」という看板の裏で
猫が笑っていた
顔はない
神経の尖端から蟻のようなものが
走り出しては
泥の中で踊る羊たちが黙示録を読む
クールな世界だ
鯨は方舟に衝突して自らの鯨を吐き出す
どこにも行けなくなった時代で
風船がわれる
きれいな孤独の裸身が方舟で遊んでいる
風景は過ぎる